私は長い間、投資アドバイスのビジネスをしてきた。ファイナンシャルプランナーやブローカーとしてではなく、投資に関する書籍やニュースレターを監修するコンサルタントとしてだ。また、投資セミナーやカンファレンスの企画、マーケティング、運営、講演を何百回もおこなってきた。

これらの経験から学んだ重要なことが1つある。それはほとんどの投資家はまともな投資方法を知らず、ギャンブルのように投資をしているということだ。

ある日、知人の編集者が小柄で年配の女性（想像だが）から手紙を受け取った。彼女はプロが勧めた株に1000万円を投資したが、思うような利益が出ず、どうするべきか尋ねてきた。この話を聞いて、私は背筋が凍った。認めたくはないが、投資アドバイスのビジネスは運任せのところがある。うまい話だけを聞いて間違ったところに投資すれば、悲惨な結果が伴う。

私は株に適切に投資するのは、とても難しいことだと思っている。自分の子供のようによく理解している自分のビジネスでも、将来の利益を予測することは難しい。だから、他人のビジネスの将来を見通すなんて無理な話だ。

とはいえ、私はマーケットを信頼している。バランスの良いポートフォリオを長期で運用すれば9％のリターンが得られるだろう。さらにあなたが優秀なアドバイザーを見つけ、彼のルールどおりに投資すれば、それ以上のリターンも可能だ。

私は何百人もの投資アドバイザーを知っているが、あなたに勧められる人はごくわずかだ。それは彼らが有名ではない、正直ではない、マーケットを理解していない、などの理由ではない（実際には優秀なアドバイザーや、とても正直な人もいる）。だが長期で見ると、どんなに優れた投資アドバイザーでも、銘柄選びに関しては一貫性がなくなるのだ。

私はオススメ銘柄やもうけ話より、もっと大切なことを教えたい。それは、すべての賢い投資家がやっているシンプルなルールに従うということである。早めに損切りし、利益が出ている株は長期で運用するのだ。

私が安全に株式投資するために実践しているのは以下のことだ。

1．リスクを分散する。私は2〜3の保守的なポートフォリオに分散投資している。

2．投資額を限定する。私は株への投資額が純資産の20％以上にならないよう心がけている（実際は約10％で推移している）。とても保守的だと思うだろうが、リスクを取るならあまりよく理解していない分野よりも、自分が（ある程度）コントロールできるビジネスに投資したいと思う。私の場合は出版と不動産分野になる。私は自分で働いて金を稼ぎたいし、高いリターンを求めることによって損失のリスクは負いたくない。リターンが9〜10％あれば十分なのだ。

3．それでも、私だって投資やもうけ話は好きだ。うまい話を真に受けるのはバカだけだと分かっていても、つい試したくなってしまう。だから話に乗って衝動的な投資をするときは、自分が運用できる金融資産の1％にとどめるようにしている。この最後のルールは重要なので詳しく説明しよう。

例えば、あなたの総資産が2億円として、その半分がマイホームやビジネスの資産だとする。株や債券、不動産、銀行に預けてある資金などの金融資産が1億円だ。その場合、もうけ話に投資できるのは金融資産の1％の100万円であり、それがあなたの財政状況での限度額ということになる。

私があなたにお勧めしたい投資アドバイザーは、高い技量があり、理にかなった投資本を執筆している人などだ。また、そのようなアドバイザーが推奨する銘柄なら私も投資するだろう。しかし少額にとどめ、バランスの取れたポートフォリオを維持し、成績が悪ければ損切りすることが大切だ。このルールに従えば、私もあなたも何の心配もしなくて済むのだ。

マーク・M・フォード

　　　　　　　　　　　　　　　　Presented by インベストメントカレッジ